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2003/10/28 ポール・オースター「スモーク」、そして美術館の案内


As is often the case with me,
この本の主題に深く関わる話ではないのだが「スモーク」の中に以下のような個所がある。

    オーギーは 4000 日もの間、毎日欠かさず煙草屋の前の通りを撮影していた。
    それを見せられたポールが唖然とし「みんな同じじゃないか」と言ったのは無理からぬ事だったろう。
    「ちょっと圧倒されるねえ」と言いながらパラパラとアルバムをめくるポールに、オーギーは言う。
    「もっとゆっくり見なくちゃ分からんよ」
    
その後、オーギーの言う通りゆっくりとアルバムをめくっていたポールが、ある写真で手を止める。
「エレンだ。見ろよ。僕の愛しいエレンだよ」
銀行強盗が乱射した銃で 2 年前に殺されてしまった妻が、偶然朝の交差点に立っていたのだ。



美術館に入る人に希望する。
もう少しだけ想像すること。
そこに写る人にも、その人の生活があるということ。
私たち自身をそこに見つけ出すこと。
祈りにも似て、
それはまるで希望のよう。


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